※この記事は歯科医師監修のもと作成しています。
セラミック矯正といえば芸能人というイメージが強いですよね。
最近だと藤田ニコルさんがセラミック矯正を公表して批判され、反論したことで話題になっていました。
セラミック矯正は良くないのでしょうか?
セラミック矯正で後悔するって本当?
美に敏感な昨今、今や多くの芸能人やインフルエンサーがセラミック矯正をしています。
実際、セラミック矯正はどうなのでしょうか?
健康な歯に影響はないのでしょうか?
結論
健康な歯を削る上、最悪神経を抜くので
セラミック矯正は数年後に後悔する事が多い
セラミック自体は悪いものではないのですが、セラミック矯正となると話は別です。
セラミック矯正とは?
セラミック矯正とは、基本的には歯を削って小さくし、そこに真っすぐ作ったセラミックを被せて、如何にも最初からまっすぐ並んでいたように見せる技術を言います。
なぜセラミック矯正をしない方が良いのか
まず普通のワイヤー及びマウスピース矯正について説明します。
どちらも基本的には歯を根本から動かし、最終的に真っすぐに並べる事を目標にしています。
この根本は通常歯肉の下に位置にありこれを歯根と言うのですが、ガタガタの歯並びになっている原因として、この歯根があらゆる方向を向いているからです。
根は歯の出ている部分と同じ方向を向いています。
なので歯並びが悪い人は下記の画像の様に、根もあらゆる方向を向いています。
セラミック矯正の原理
セラミック矯正はどの様に真っすぐに並べるのかと言うと
歯根の方向は無視して、出ている部分だけを真っすぐにします。
これを画像で表すとこのようになります。
出ている部分を削り自歯を残し、セラミックを真っすぐに被せるのです。
こうする事で何が起きるかと言うと、ここまで歯根と出ている部分の方向が違えば大きく歯を削り、最悪の場合、神経を抜かなければなりません。
神経を抜くと歯が脆くなります。
歯が脆くなることでいくつかのリスクが生じます。
リスク一覧
- 噛む力が弱まり、食事を摂取する際に苦労することがある。
- 歯が割れたり欠けたりしやすくなる。
- 歯の感覚過敏が生じ、冷たい、熱い、または甘いものなどに過敏に反応することがある。
- 虫歯のリスクが増加する。
- 審美的な問題が生じ、笑顔や口を開けたときに自信を持てないと感じることがある。
矯正で歯の並びをよくする筈なのに審美的な問題とはどのような事なのでしょうか?
審美的なリスクとは?
歯茎の黒ずみ
たまに前歯の歯茎が黒ずんで見える人がいます。
もちろんこれはセラミック矯正をした人たち全員に当てはまる事ではありませんが、セラミック矯正後に起こりうる事の一つとして周知されています。
ではなぜ歯茎が黒く見えるのでしょうか?
- 歯茎の透過性: セラミックは光を透過し、人工の歯冠や修復物が歯茎の下にあるとき、光が歯茎を通り抜けて見えることがあります。これは、歯茎の下のセラミックが黒っぽく見える原因となります。
- 金属の使用: 以前は、歯冠や歯の修復物に金属が使用されることがありました。この金属が歯茎の下にあると、金属が透けて見え、歯茎が黒ずんで見えることがあります。
- 歯肉の反応: 人工の歯冠や修復物が歯茎の近くにあると、歯茎がそれに反応して炎症を起こし、その部分が黒ずんで見えることがあります。
- 歯茎の退縮: 歯周病や歯茎の不適切な刺激により、歯茎が退縮することがあります。この場合、歯の修復物の境界が露出し、それが黒く見えることがあります。
上記以外にも稀に歯石を残したままセラミックを被せてしまう歯科医師もいます。
これもまた黒く見える原因となる事があります。
これらの様々な理由により、セラミック製の歯冠や歯の修復物を入れた後に、歯茎が黒くなることがあるのです。
しかし、これは一般的な問題ではなく、すべての人に起こるわけではありません。
審美的に見て上手くない
審美的に見て上手くないと言うのは、セラミック矯正した前歯が大きすぎるとか
形が良くない、色が他の歯の色とあっていない等
あまり上手ではない状態を指します。
セラミックの製作は基本的に歯科技工士が行います。
セラミックの歯を作るという事は経験と腕が物を言います。
ココがポイント
手先が器用でないと上手く作り上げる事は出来ません。
もちろん歯科技工士もプロです。
出来る限り上手く作る事はもちろんですが、残念ながら中には下手な技工士も一定数います。
よくあるトラブルとして、歯が大きいという事や、色が違うからやり直しを求めたが応じて貰えなかったというのがあります。
セラミックは歯に被せる時に、とても強力な歯科用接着剤を使います。
もし再び取る場合は削って取るしかないのですが、この際に歯も一緒に削れる事が多いです。
それほどまでに強力な歯科用接着剤がついているのに、何度も取って付けては出来ません。
なのでやり直しをお願いしても断られる場合があります。
削らないセラミック矯正とは?
確かに近年流行りの削らないセラミック矯正もありますが、削らないという事は、
まずそこまで歯並びが悪くない事が大前提です。
削らない方がいいのか、削る方がいいのか……
実はこれは歯科医師にしか分からない事ですが、
セラミックを被せるのなら、削る方が良いのです。
患者さんからすれば健康な歯は削りたくないですよね。
しかし、セラミックは薄いとすぐに割れます。
削らない事でセラミックが分厚くなり、審美的に見ると綺麗とは言えません。
また、歯を削ってセラミックをどのような形で作るのか境目を示してあげないと歯科技工士が困ります。
境目がないセラミックの被せを作る事は技術的にとても難しく、そのせいで出来上がった見栄えがあまり良くないという事も多いです。
削らないセラミック矯正が向いている人
前歯の2番が内側に入っていて小さく見える人
2番を削らないセラミックで被せて大きく見せてあげる事でとても自然な仕上がりになる事があります。
削らないセラミックのメリットとデメリット
メリット
自分の歯を削らなくても良い
デメリット
- 削らない事で分厚いセラミックになり、見栄えが悪い
- 取れやすい
- 割れやすい
- 削らない事で接着する境目を作らない為、歯茎から突然白い歯が生えているように見え、とても不自然になる
セラミック矯正の需要
セラミック矯正をやった方が良いなんていう人はいませんが、需要は一定数あります。
例えば芸能人や年配の方なんかがそうです。
芸能人の場合は旬の時期を逃さないためと言うのが多いです。
芸能人は入れ替わりが激しい世界ですので、旬の時期を逃さない為にもすぐに真っ白で綺麗な歯並びにしたいと考える人が多いからでしょう。
こんな方にはおすすめ
- 今すぐ綺麗に見えればいい
- 10年ぐらい持てば問題ない
そういう人にならセラミック矯正は向いてます。
年配の方も同じで、今から矯正しても・・・という方がセラミック矯正を希望される場合が多いです。
セラミック矯正を勧められたら
歯の矯正をしたくて相談に行ったとします。
そこで歯科医師に、あなたの歯はセラミック矯正ならすぐに並びますよ♪
ホワイトニングしなくても真っ白になるし、普通の矯正は時間がかかるからね!と言われたとします。
患者さんの歯の将来の事まで考えてくれる歯科医師であれば、患者さんの方からセラミック矯正をしたいと言われても
歯根から動かすワイヤー矯正かマウスピース矯正を勧めるでしょう。
例え削る量が少なく神経を取らなくてすんだとしても、削る事自体がすでにリスクです。
削らない場合でも、削らないセラミックのメリットデメリットで述べた通り、被せる事もリスクになり得ます。
なので将来の事を考え、矯正にかかる時間があるのであれば丁重にお断りしましょう。
但し、セラミック矯正の需要でお話したように、今すぐというのであれば患者さん自身の意思なので問題ありません。
歯の寿命を考えるなら
セラミック矯正はやめておいた方が良いでしょう。
歯根が変な方向を向いたまま被せものをする事で、負担が掛かった時に根っこが割れたりするリスクもあります。
万が一、歯根が割れてしまうと下手すると抜歯になります。
注意ポイント
すぐに綺麗な歯並びが手に入る、その代償はとても大きいのです。