実は35歳の頃からずっとセルフ(市販の排卵検査薬を使用)で妊活をしていたのですが、その間に子宮筋腫で腹腔鏡手術などがあった為に一旦中止し、ついに39歳より本格的に妊活を再開していました。
本来なら、30代なのですぐにでも病院に行くべきでしたが、妊娠に対してあまりにも無知だった為、セルフのタイミング法でも子供は出来るであろうと自己判断し、先延ばしにしていたのが現状です。
この事については後悔しかなく、これから妊活を始める方には同じような思いをして欲しくないと感じ、この記事を書いています。
体外受精で採卵から移植まで、実際にかかった料金
まずは誰もが気になるであろう、お金の話をしていこうと思います。
この記事を書いている時点では2024年4月から体外受精をはじめて4ヶ月経ち無事受精卵から胚盤胞まで育ち、8月に移植しました。
GWで5月の採卵が出来ず、6月初旬と6月下旬の2回の採卵のみ、さらには6月初旬の採卵は空胞でした。※ 卵胞を吸引しても卵子が入っていない卵胞を空胞と言います。空胞の場合は1万円ほどで済みます。
初診で検査などをして、採卵→培養→移植までにかかった費用はおよそ25万円です。(自費、保険適用含む)
もし採卵1回で卵子1個取れた場合、体外受精管理料が加算され採卵術の保険点数も上がり、およそ3万円なので、空胞でなかった場合はプラス2万円程かかります。
また、受精卵がうまく分裂したか分からない状態になることもあります。この場合は培養してみないと分からないそうですが、ここで培養する事を選択した場合はうまく行かなかったとしても3万ほどかかります。
詳細はこちら
各検査/約4万3千円
- クラミジア・トラコマチス核酸検出
- 風麻疹抗体検査
- C型、B型肝炎
- 梅毒(RPR、TPHA)
- HIV
風麻疹抗体検査から下の項目はすべて自費で、C型肝炎から下の検査はパートナーも受けます。(自費は初診料と再診料も自費です。)
※基本的には現段階での感染の有無を知りたいので、他の病院で受けた検査結果を持っていっても無意味な事があります。他の病院で受けられた検査結果が有効かどうか、詳しくはクリニックにお問い合わせください。
内診・血液検査/約2万2千円
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- 卵胞の大きさ検査
- 排卵したかどうかの確認
- E2(エストラジオール)
- P4(プロゲステロン)
- B-V(ベータ-HCG、ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
- FT4(遊離サイロキシン)
- DHEA-S(デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩)
- テストステロン
- LH(黄体形成ホルモン)
- FSH(卵胞刺激ホルモン)
- PRL(プロラクチン)
- TSH(甲状腺刺激ホルモン)
- HbAlc
※各血液検査には血液学的検査判断料も入ります。
これらのうち、HbA1c以外はすべてホルモンです。
- E2(エストラジオール):
- 卵巣から分泌される主要なエストロゲン。卵胞の発育と成熟を促進します。
- プロゲステロン(P4):
- 卵巣の黄体から分泌されるホルモン。妊娠を維持するために重要です。
- B-V(ベータ-HCG、ヒト絨毛性ゴナドトロピン):
- 妊娠時に胎盤から分泌されるホルモン。妊娠の維持と初期の確認に重要です。
- FT4(遊離サイロキシン):
- 甲状腺ホルモンの一つ。代謝やエネルギーレベルの調節に関与します。
- DHEA-S(デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩):
- 副腎から分泌されるホルモン。性ホルモンの前駆体として機能します。
- テストステロン:
- 男性ホルモンの一つですが、女性にも少量存在し、筋肉や骨の健康に寄与します。
- LH(黄体形成ホルモン):
- 脳下垂体から分泌されるホルモン。排卵や黄体形成を刺激します。
- FSH(卵胞刺激ホルモン):
- 脳下垂体から分泌されるホルモン。卵巣の卵胞発育を促進します。
- PRL(プロラクチン):
- 脳下垂体から分泌されるホルモン。乳腺の発達と母乳生成を促進します。
- TSH(甲状腺刺激ホルモン):
- 脳下垂体から分泌されるホルモン。甲状腺ホルモンの分泌を調節します。
- HbA1c(ヘモグロビンA1c):
- ホルモンではなく、血糖コントロールの指標です。過去2~3ヶ月間の平均血糖値を反映します。
これらのホルモンは、体内の様々な機能や不妊治療において重要な役割を果たしています。
不妊治療において毎回血液検査を行うのは、患者のホルモンレベルを正確に把握し、治療の進行状況や効果をモニタリングするためです。
採卵日決定・採卵/約8万5千円
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- 採卵日仮決定または断定
- クロミッド処方
- ブセレリン点鼻(初回のみ7千円税別)7回分
- 採卵
- 体外受精管理料
だいたい生理の3日目にクロミッドを処方してもらい、採卵日が仮決定します。これは保険適用なのですが、その5日後ぐらいに採卵日を確定するために受診したものは自費になります。
超音波検査は月に2回までの保険適用と決められていて、尚且つ7日以上経っていない場合は保険適用にはなりません。
なので、保険適用は生理3日目の採卵日仮決定の日と採卵する日の2回になります。
胚盤胞まで培養・内診/約5万5千円
- 胚盤胞まで育て凍結する
- 生理後11日目に来院し、卵胞の確認をする(卵胞が全然育ってない場合は18mmになるまで日をあけて確認する)
凍結胚移植の場合は培養士が受精卵を胚盤胞(受精卵が出来てから5日か6日目)まで育てた後、凍結し保管します。その後、自然排卵を待ち、身体が整ってから体内に凍結した胚を融解して戻します。
受精卵から胚盤胞まで育てるのに約3万3千円で、その後自然排卵した後に体内に胚盤胞を移植します。
胚盤胞を移植/約4万6千円
- 胚盤胞まで育てた胚を移植する
- 黄体ホルモンの数値を高くする膣錠36回分
自身の身体を排卵後5日目の状態にしてから移植します。
黄体ホルモンの値が低い場合は、内服薬や膣錠で数値をあげておきます。
体外受精は自費で高額?
体外受精の保険適用は2022年4月1日から開始されましたが、上記のとおり体外受精にはかなりのお金がかかります。
しかも保険適用には回数制限があるので、事前にしっかり確認してください。
保険適用回数の条件とは?
初めての治療計画開始時点の女性の年齢が
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- 40歳未満の方は1子ごとに最大6回まで
- 40歳以上43歳未満の方は1子ごとに最大3回まで保険適用となります。
要注意なのが初めての治療(計画)開始時点の年齢というところです。
例えば1カ月後に40歳になる人が病院に行ったとします。最初はタイミング法でお願いしようかな~?なんて言ってる間に40歳になり、やはり体外受精でお願いしたいとなった場合、体外受精の治療計画時点の年齢は40歳という事になります。
すると、必然的に3回までとなるのです。
また、上記の6回と3回は何の回数かというと、「胚移植回数」の事です。
体外受精の手順&「胚移植回数」とは?
体外受精は下記のような手順で行います。
- 採卵する(卵子を体外に取り出し)。
- 受精させる(取り出した卵子に精子をふりかけ又は顕微で受精させる)。
- 受精卵を育て、「胚」にする。
- 育った良好な「胚」を体内に戻す。
「胚移植回数」とは、この胚を体内に戻す回数の事です。
ただし保険診療で凍結した余剰胚がある場合、それをすべて融解胚移植しないと次回の採卵は保険適用できません。
また保険診療では「採卵から胚移植までの一連の治療」に対して保険適用になります。
採卵で多数の卵子が採取されて多数の受精卵が発育しても、移植する胚の数を1個か2個に制限すれば多胎妊娠を防ぐことが出来ます。
そして移植しなかった良好な胚は余剰胚になります。 これらの余剰胚を無駄にしないために胚の凍結保存をするかどうか選べます。
子供が欲しい…病院にはいつ行くべき?
子供が欲しいと思ったら、すぐにでも!
20代だからまだ安心……なんてことはありません。まず、パートナーと自分の身体を知る事が大切です。
例えば妊娠しにくい身体だった場合、それを早くに知ることで改善出来るかもしれません。
欲しいと思った時点で、まずは一度病院へ行ってみましょう。
卵子は毎月、新しいものができる?
いいえ、卵子の数は生まれた時から決まっています。
女性は出生時に約100万から200万個の卵子(正しくは卵子の元である卵母細胞)を持って生まれますがその数は一生のうちに減っていきます。
毎月1回の排卵には約1000個消費され、卵子の中で一番タイミングのいい卵子1個が排卵されます。
思春期の頃には約30万から40万個の卵子があり、毎月の月経周期で少しずつ減っていきます。閉経までに、排卵される卵子は約400〜500個です。閉経後は、ほとんど卵子が残っていません。
なぜ加齢と共に子供が出来にくくなるのか?
- 卵子の数が減る:年齢が上がるにつれて卵子の数は自然に減少します。特に30代後半から40代にかけて急激に減少します。
- 卵子の質が低下する:年齢と共に卵子の質も低下します。質の低下は染色体異常のリスクを増やし、受精や着床の成功率を下げます。
- ホルモンの変化:年齢が上がると、妊娠に重要なホルモン(例えばエストロゲンやプロゲステロン)のレベルが変化し、排卵の規則性や子宮内膜の状態に影響を与えます。
- 子宮の変化:年齢と共に子宮の内膜も変化し、受精卵が着床しにくくなることがあります。
体外受精は何歳から考えればいいのか?
年齢が30歳を超えているならすぐにでも
30代になると自然妊娠の確率が格段に落ちます。そうなるといくらタイミング法を行っても年齢だけ重ねていくという事が起こりかねません。
子供を望むのであれば出来る限り早く、体外受精に切り替えるのがベストです。
30歳未満の方はタイミング法を行ってから1年が頭打ち
29歳の方は1年タイミング法や人工授精を試してみても良いと思います。30歳になってから、体外受精に切り替える事をおすすめします。
※タイミング法(タイミング療法)とは、女性の排卵日を特定し、その日に合わせて性交を行うことで妊娠の確率を高める方法です。具体的には以下のステップで行います。
タイミング法とは?
- 排卵日の特定:女性の月経周期を観察し、排卵日を特定します。一般的には、排卵は次の月経が始まる14日前に起こりますが、個人差があるため、基礎体温の測定や排卵検査薬を使用してより正確に特定します。
- 基礎体温の測定:毎朝同じ時間に起床後すぐに体温を測定します。排卵日前に体温が少し下がり、排卵後に体温が上昇します。
- 排卵検査薬の使用:尿中のホルモン(LH:黄体形成ホルモン)濃度を測定することで、排卵日を予測します。LHサージ(急上昇)が起こると、排卵が24〜36時間以内に起こることが予測されます。
- 排卵期に性交:排卵の前日や当日に性交を行うことで、妊娠の可能性を高めます。精子は体内で3〜5日間生存するため、排卵日前からの性交も効果的です。
不妊治療~体外受精について~まとめ
最初に記述したように、一番の後悔は早く不妊外来に行かなかったことです。
38歳の時に子宮筋腫で腹腔鏡手術を行ったのですが、不妊外来専門のクリニックの先生から言わせると、その前に採卵しておくべきだったとの事でした。
やはり加齢と共に卵子の質も低下するので、卵子の大敵は年齢に他なりません。
今後どのようになるのか分かりませんが、このまま順調に妊娠できることを願うばかりです。
同じように不妊治療をされている方、またはこれから不妊治療をしようと考えている方の少しでも参考になればと思います。